「AGIがもうすぐ実現する」——そんなニュースを見つけました。OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、2026年末までに自分たちがAGIと呼べる社内システムができると発言しています。
とはいえ、「AGIってなに?」って話だと思います。今回はは、OpenAIが掲げる「AGI」についてと、その先に見えてくるWebの未来についてお話ししていきます。
そもそもAGIとは何か
AGIとは、ざっくり言えば、人間が知的にこなせることなら、だいたい何でもできてしまうAIのことです。
今のChatGPTのようなAIは、文章を書いたり質問に答えたりするのは得意ですが、「得意なこと」がある程度決まっています。いわば「文章が得意な専門スタッフ」のようなものです。一方AGIは、専門スタッフというより「どんな部署に配属されても、自分で考えてそこそこの成果を出せる万能な新入社員」に近いイメージです。営業をやらせても、経理をやらせても、資料作りをやらせても、それなりにこなしてしまう、そんな存在ですね。
OpenAIのAGIの定義はちょっと変わっている
面白いのは、OpenAIがAGIを哲学的にすごいAIではなく、かなり経済的な物差しで定義していることです。OpenAIの憲章には、AGIはほとんどの経済的に価値のある仕事において人間を上回る、高度に自律的なシステムだと書かれています。
つまり、意識があるかどうか?や人間のように考えられるかどうか?といった哲学的な話は脇に置いて、お金になる仕事を、人間より上手にこなせるかを基準にしているわけです。テストの点数で例えるなら、人間らしい思考ができるか?という記述式の問題ではなく、実際に稼げる仕事を任せられるか?という実技試験に近い発想です。
ただし、この定義には大きな注意点があります。この基準は経済的な物差しであって、AIが物事を理解しているかどうかを測るものではありません。極端に言えば、中身をきちんと理解していなくても、結果として仕事が回るならAGI認定されてしまうという、なんとも実利的な定義なのです。とっても合理的ですね(笑)
「もう80%到達している」の裏側
OpenAIの最高研究責任者マーク・チェン氏は、AGIまで「80%到達している」と語っています。
その根拠のひとつが、OpenAIが発表したAstraというモデルです。Astraはすでに自動化された研究アシスタントとして機能しているとのこと。実験を組み立てたり、その後の検証を進めたりできる、ということだと思います。
ただし、ここは冷静に見ておきたいところです。「AGIに到達したかどうか」を判定しているのは、外部の第三者ではなく、OpenAI自身だからです。外部の研究者が検証できる客観的な基準があるわけではなく、いわば自分たちで自分たちの成績をつけているような状態だと指摘する声もあります。学校で例えるなら、生徒自身が「僕はもう優等生です」とテストの採点をしているようなもので、そのまま鵜呑みにしてよいかは、また別の話で良いのではないかと私は思います。
それでもWebは確実に変わり始めている
AGIが完成したかどうかはさておき、AIエージェントが急速に賢くなっているのは事実です。そしてこの流れは、私たちが日々触れているWebのあり方を、じわじわと変えつつあります。
これまでのWebは、基本的に人間が見て、人間がクリックすることを前提に作られてきました。お店のホームページも、ニュースサイトも、人間の目に美しく、分かりやすく届くようにデザインされています。
ところが今、AIエージェントが人間に代わって情報を探し、比較し、予約や購入まで済ませてしまう場面が増えてきています。こうなると、Webサイト側にも人間向けの見た目だけでなく、AIが理解しやすい情報の出し方が求められるようになります。この変化は、しばしば「エージェンティックWeb」と呼ばれています。
Hybrid Webという過渡期
とはいえ、明日から急にすべてがAI向けに切り替わるわけではありません。しばらくの間は、人間が操作する従来の画面と、AIエージェントがアクセスするための入り口が同居する時期が続くと見られています。専門家の間では、これを人間向けのGUIとAIエージェント向けのAPIが併存するHybrid Webの時代と呼んでいます。
たとえるなら、これまでお店には、お客様専用の正面玄関しかなかったところに、配達ロボット専用の裏口を新しく作るようなイメージです。正面玄関(人間向けの見た目)はこれからも大切ですが、裏口(AIが読み取りやすいデータの入り口)を用意していないお店は、AIエージェントに素通りされてしまう可能性が出てくるわけです。
さらに踏み込んで言えば、これから新しく作るシステムには、AIエージェントとどうつながるかという要件を必ず盛り込み、古いシステムもAIが読み取れる形に整えていく必要があるとも言われています。いづれは、中小企業や地域の事業者にとっても、他人事ではないテーマになってきそうです。
まとめ
OpenAIの言うAGIが、2026年末に本当に到来するのか、それとも社内的な達成宣言にとどまるのかは、正直なところ現時点では断言できません。
一方で、AIエージェントが検索や比較、予約までこなす世界が近づいているのは、もはや疑いようのない流れです。AGIという言葉の是非を議論するよりも、自分たちのWebサイトや情報発信が、人間だけでなくAIにも正しく読み取ってもらえる形になっているかを、今のうちから見直しておく方が、実務的にはずっと大切なのかもしれませんね。
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