AIチャット、まだ万能じゃない

最近、ChatGPTなど、AIチャットに話しかける機会がすっかり日常になりましたよね。私自身も仕事でほぼ毎日使っていますが、使えば使うほど「これは本当に便利だな」と思う一方で、「あれ、ちょっと待てよ」と立ち止まる瞬間も増えてきました。

今日は、そんな現場感覚から見えているAIチャットの課題について、あらためて私見を交えながらお話ししてみたいと思います。

課題その1:自信満々に間違える「ハルシネーション」

AIチャットボットの一番厄介なところ、それは「知らないことを、知っているかのように堂々と答えてしまう」ことです。これは「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象で、業界では長年の悩みの種になっています。

たとえるなら、優秀だけど見栄っ張りな新人スタッフのようなものです。お客様に「その商品の在庫はありますか?」と聞かれて、本当は知らないのに「はい、ございます!」と自信満々に答えてしまう。しかも口調がとても自然で説得力があるので、聞いている側は疑う余地すらない。実際、存在しない歴史上の出来事について尋ねても、もっともらしい説明を作り上げてしまうという検証結果が報告されています(ずいぶん減りましたが)。

もちろん、最新のモデルほどこの傾向は改善されてきていて、ある調査では新しいモデルに切り替えただけで誤答が2割以上減ったというデータもあります。ただし「ゼロになった」わけではなく、企業がAIチャットボットを導入する際に感じる一番の不安要素として、いまだにハルシネーションが挙げられ続けているのが実情です。

私の実感としては、「AIの回答は、優秀だけど時々盛る後輩のアドバイス」くらいの距離感で受け止めるのがちょうどいいと思っています。鵜呑みにせず、最後は自分の目で確かめる一手間が欠かせません。

課題その2:参照元があっても、それが古ければ意味がない

「じゃあ、公式情報やFAQを読み込ませればハルシネーションは防げるんでしょう?」と思われる方も多いはずです。たとえばGemini Notebookの利用がそれにあたります。確かにハルシネーションを大きく減らす効果があります。AIが自分の記憶ではなく、目の前に用意された資料だけを根拠に答えるよう制限されるからです。

ただ、ここにも落とし穴があります。参照元のマニュアルやFAQ自体が古かったら、どうなるでしょうか。答えは簡単で、「昔は正しかった情報を、今も正しいかのように自信満々に案内する」という、新手の間違いが起きてしまうのです。いわば、3年前の営業時間が書かれたままの張り紙を、律儀にお客様へ読み上げてしまうようなものですね。AIチャットは賢いですが、資料を最新に保つのは結局のところ人間の仕事、というのが変わらない現実だと感じています。

課題その3:頼りすぎて、考えなくなる

技術的な話から少し離れて、もうひとつ気になっている課題があります。それは「便利すぎて、自分の頭で考える前にAIに聞いてしまう」という、使う側の変化です。

企画書の骨子も、メールの文面も、ちょっとした調べものも、気づけば真っ先にチャットに投げている。もちろんこれ自体はとても効率的なのですが、たとえるなら、電卓が登場したことで暗算が少し苦手になった、というのと似た構造があるように思います。頼れる道具ができたぶん、自分の中で「一度立ち止まって考える」筋力が少しずつ落ちていく感覚です。

とくに、AIが出してきた案をそのまま採用してしまうと、「なぜその結論に至ったのか」を自分の言葉で説明できなくなることがあります。お客様や上司に「これ、どういう根拠ですか?」と聞かれたときに答えられないと、信頼を損ねてしまいかねません。AIチャットボットは「考える代わりをしてくれる存在」ではなく、あくまで「考えるための材料を出してくれる存在」だと、私は捉えるようにしています。

まとめ:便利な相棒だからこそ、距離感が大事

こうして並べてみると、AIチャットの課題は大きく3つに集約できそうです。

  • もっともらしく間違える(ハルシネーション)
  • 参照元が古ければ、古い答えを自信満々に返す(情報鮮度の問題)
  • 頼りすぎると、自分で考える力が鈍る(依存のリスク)

どれも「AIが悪い」というより、「便利な道具をどう付き合うか」という、使う側の姿勢が問われている課題だと感じています。優秀な新人スタッフに仕事を任せるときと同じで、丸投げにせず、要所要所で「本当にそれで合ってる?」と確認する。そんな距離感を持てると、AIチャットボットは驚くほど頼りになる相棒になってくれるはずです。

みなさんは、AIチャットボットを使っていてヒヤッとした経験はありますか?よかったら、そんなエピソードもぜひ聞かせてください。

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ABOUT US
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アイ・セプトの社長
株式会社プロトクリエイティブ(現・株式会社プロトコーポレーション)にて、自社メディアをプロデュースするトップアートディレクターを務める。あわせて、新規事業や新会社の立ち上げにも従事。

その後、「お客様に最も近い立場で仕事がしたい」という思いから、クリエイティブの第一線を離れ、異例ともいえる営業職への転身を決意。株式会社ウェブ・ワークス(現・トランスコスモス株式会社)に入社する。

同社では東海圏・関西圏のエリアマネージャーに就任し、福岡・札幌の拠点も兼務。100名超の組織を牽引したほか、人事制度の策定や、業務効率化を掲げた事業再生にも携わった。

2009年7月7日、インターネット戦略支援事業を軸とする株式会社アイ・セプトを設立し、代表取締役社長に就任、現在に至る。2019年に北海道上川郡下川町、2024年に秋田県秋田市へオフィスを開設し、地域課題の解決にも精力的に取り組んでいる。

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経営者、AI導入・DXコンサルタント
GUGA認定 生成AIパスポート 有資格者
総務省の都道府県における市町村支援のデジタル人材に登録
趣味はマラソン、釣り、ライブ観戦