【市場考察】ダイドーの自販機2万台撤去から考える。私たちの節約志向と自販機の未来

街角から、少しずつ自動販売機が姿を消し始めています。 飲料大手ダイドーグループホールディングスは、収益性の低下から自販機約2万台の撤去と、それに伴う多額の減損処理を発表しました。コカ・コーラや伊藤園などの競合他社も、同様に厳しい環境に直面しています。

なぜ、自販機で飲み物を買わなくなったのでしょうか?私は自販機でも買いますが、安く買えるドラッグストアに行くこともあります。スーパーも同様ですね。

でも競合は、スーパーやドラッグストアだけではない

たしかに、安価で飲料を提供する量販店は最大のライバルですが、消費者の節約志向はさらに別の競合を生み出しています。

  • マイボトルの定着と究極の節約: エコや節約の観点から、自宅で淹れたお茶やコーヒーを持ち歩く人が増えました。これは、外出先で飲み物を買うという行動そのものを置き換えてしまいました。マイボトル2本持ちも珍しくありません。
  • ECサイトでのまとめ買い: Amazonや楽天などで飲料を箱買いし、毎朝1本カバンに入れて出社するスタイルも定着しているかと思います。1本あたりの単価を下げる、とても合理的なアイデアです。
  • ライフスタイルの変化(リモートワーク): 出社や外出の頻度が減った人もいます。オフィス内や駅前での、ついで買いの機会自体が大きく減少したことも影響しています。

アプリの特典は、一時的なカンフル剤に過ぎない?

サントリーやコカ・コーラは、専用アプリ(Coke ONなど)を通じてスタンプやポイント還元を行い、お得感を演出しています。

しかし、これはあくまで、定価で買うことへの心理的ハードルを下げるための工夫であり、根本的な解決策にはなり得ません。自販機ビジネスには、機械の維持費、電気代、そして何より商品を補充する人件費という重い固定費がのしかかっています。そのため、スーパーのような抜本的な値下げは構造上不可能であり、アプリの特典を充実させても、消費者の「やっぱり高いな・・」という根本的な感覚を拭い去ることは難しいのが現実ではないでしょうか。

ちなみに私は、現金でしか購入できない自販機では、購入しなくなりました・・。

自販機業界が生き残るためには?

ただ飲み物を定価で置いているだけでは、撤去の波は止まりません。自販機が今後も街のインフラとして生き残るためには、全く新しい価値の提供が必要だと思います。以下はあくまで個人的なアイデアですが書いてみました。

  • 変動価格制の導入 時間帯、天候、賞味期限の近さなどによって価格が変動する仕組みです。例えば、猛暑日の日中は定価でも売れるけど、雨の日の夜はスーパー並みに値下げするといった柔軟な価格設定ができれば、買い控え層を取り込める可能性があります。
  • 究極のパーソナライズと健康支援 自販機でしかできない体験を提供します。例えば、その日の気温や体調に合わせて、1℃単位で温度を選べる機能や、その場で成分を配合するプロテイン・サプリメント飲料など、わざわざそこで買う理由を作るアプローチです。
  • 飲料以外の価値提供(地域インフラ化) 災害時の飲料無料提供機能に加え、Wi-Fiスポット、防犯カメラ、あるいは日用品や地元特産品の無人販売所として活用するなど、ただの飲み物売り場からの脱却を図ります。これは、増えてきていますね。商品を一覧で見る楽しみもあります。

利便性だけではお財布は開かない時代へ

かつて、日本の至る所にある自販機は、究極の利便性の象徴でした。しかし、日々の生活費が重くのしかかる現在、消費者は便利さよりも納得感を求めています。自販機が再び私たちの生活に寄り添う存在になれるのか、業界全体の大きな変革が求められています。

ABOUT US
アバター画像
アイ・セプトの社長
株式会社プロトクリエイティブ(現 株式会社プロトコーポレーション)で、 各種メディアをアートディレクターとしてプロデュース。のちに、お客様の一番近くで仕事をしたいと考え、転職して営業職にジョブチェンジ。
株式会社ウェブ・ワークス(現 トランスコスモス株式会社)では、新事業の草分けとしてプロジェクトマネージャーとなり、のちに東海圏と関西圏のエリアマネージャー、福岡・札幌圏のアドバイザーを担う。そのほか、人事制度の策定や事業再生にも従事。

2009年7月7日『株式会社アイ・セプト』を設立、代表取締役社長に就任。2019年には北海道上川郡下川町にオフィス、2024年には秋田県秋田市に秋田オフィスを開設し、地域課題の解決に向けて精力的に活動中。
GUGA認定 生成AIパスポート 有資格者。
趣味はマラソン、釣り、ライブ観戦など。