「iPhone離れ」の実態

長らくiPhone一強と言われてきた日本のスマートフォン市場において、その構図に変化が生じていることが最新の統計データから明らかになってきたので書いておきます。

iPhoneシェアが過半数を割り込む(MMD研究所調査)

モバイル専門の調査機関であるMMD研究所が2025年10月21日に公開した「2025年9月スマートフォンOSシェア調査」によると、日本国内におけるメイン利用端末のOSシェアに逆転現象が確認されました。

  • iPhone(iOS)利用率:48.3%
  • Android利用率:51.4%

2024年の同調査と比較すると、iPhoneは1.3ポイント減少し、逆にAndroidは1.3ポイント増加しています。これにより、iPhoneのシェアは過半数を下回り、Androidが上回る結果となりました。

出典:MMD研究所「2025年9月スマートフォンOSシェア調査」(2025年10月21日公開)https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2496.html

出荷台数でもAppleはシェア低下(IDC Japan発表)

IT専門調査会社IDC Japanが2025年9月10日に発表した「2025年第2四半期 国内スマートフォン市場実績値」においても、同様の傾向が報告されています。当該四半期におけるベンダー別出荷台数において、トップシェアのAppleは以下の記録を残しました。

  • 対前年同期比:8.2%減
  • 市場シェア:前年同期比で6.1ポイント低下

このレポートでは、要因としてiPhone 16eの出荷が期待値を下回ったことが挙げられています。一方で、Google(Pixelシリーズ)は対前年比57.8%増と大幅に出荷台数を伸ばしていて、ベンダー間での勢いの差が数値に表れていました。

出典:IDC Japan「2025年第2四半期 国内携帯電話・スマートフォン市場実績値」(2025年9月10日発表)

年代別・キャリア別に見る利用動向はどうか

年代別・キャリア別に見る利用動向はどうか?という点についてですが、シェアの変動は一律ではなく、属性によって顕著な違いが見られます。MMD研究所の同調査データ(2025年9月)によると、以下の事実が確認されていました。

  • 若年層のiPhone支持は継続 20代女性におけるiPhone利用率は81.0%と極めて高い数値を維持しています。
  • シニア層・通信費節約層でのAndroid優位 60代男性(65.0%)、60代女性(61.9%)ではAndroid利用率が高くなっています。 また、通信キャリア別で見ると、MVNO(格安SIM)利用者におけるAndroid利用率は63.5%に達しており、経済性を重視する層でAndroidが選ばれている実態が浮き彫りになりました。

過渡期を迎えたか

データを見る限りですが、日本人のiPhone離れという現象は、全体としてAndroidへの緩やかな移行として現れていますが、その内実は単純ではないと思います。

とりわけ、20代女性の8割超が依然としてiPhoneを選択している点です。これは、iPhoneが単なる通信機器としてだけでなく、若年層のコミュニケーションツールやファッションアイテムとしての地位を確立していることを示唆しています。つまり「みんなと同じiPhoneがいい」という心理的ハードルや、AirDropなどの独自機能によるエコシステムの囲い込みなどは、依然として強力だということですね。

一方で、出荷台数データの変化は、市場の成熟と言っても良いのではないでしょうか。Google(Pixelシリーズ)の躍進に見られるように、Android端末の性能向上とコストパフォーマンスの良さが、ブランドに固執しない層(とりわけシニア層や実用重視の層)に合理的な選択肢として受け入れられた結果と言えるでしょう。ひと昔前は「とりあえずiPhoneを選べば安心」という楽観的(?)な消費者の行動から、自身の用途や予算に合わせてOSを選択する時代へ変わってきていると考えられます。とりわけデバイスの価格は目立ちますよね。

そういう意味でiPhone離れは、iPhoneが負けているとかではなく、日本のスマートフォン市場が多様性と言いますか、いろいろな考え方を受け入れるようになって、良い意味で正常な競争環境へと成熟し始めた状況なのかもしれないと思います。

ちなみに私はAndroidです。

ABOUT US
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アイ・セプトの社長
株式会社プロトクリエイティブ(現 株式会社プロトコーポレーション)で、 各種メディアをアートディレクターとしてプロデュース。のちに、お客様の一番近くで仕事をしたいと考え、転職して営業職にジョブチェンジ。
株式会社ウェブ・ワークス(現 トランスコスモス株式会社)では、新事業の草分けとしてプロジェクトマネージャーとなり、のちに東海圏と関西圏のエリアマネージャー、福岡・札幌圏のアドバイザーを担う。そのほか、人事制度の策定や事業再生にも従事。

2009年7月7日『株式会社アイ・セプト』を設立、代表取締役社長に就任。2019年には北海道上川郡下川町にオフィス、2024年には秋田県秋田市に秋田オフィスを開設し、地域課題の解決に向けて精力的に活動中。
GUGA認定 生成AIパスポート 有資格者。
趣味はマラソン、釣り、ライブ観戦など。