AX(AIトランスフォーメーション)という言葉を耳にする機会が増えていないでしょうか?「DX(デジタルトランスフォーメーション)なら知っているけれど、AXはまた新しいバズワード?」 そう思われる方も多いかもしれません。しかし、AXは単なる流行語ではなく、私たちがこれまで取り組んできたデジタルの改革を、さらに実用と自律の段階へと押し上げる、重要な概念なのです。
今回は、このAXの解説と、それが私たちの仕事、とりわけ、情報の扱い方にどのような影響を与えるのかについて書いてみようと思います。
そもそもAXとは?
AXとは、AI Transformation(AIトランスフォーメーション)の略称です。簡単に言えば、AI(人工知能)を基盤として、ビジネスモデルや組織、業務プロセスを根本から変革することを指します。
これまで多くの企業が取り組んできたDXは、ITツールを導入してアナログな作業をデジタルに置き換えることが中心でした。 対してAXは、そのデジタル化されたデータをAIが学習・分析し、予測や判断、創造といった高度な領域まで自動化・支援することを目的としています。
便宜上、DXと呼ばれていることも多い
実は、このAXという概念、完全に独立した言葉として使われることもあれば、広義のDXの一部として語られることも多いのが現状です。
現場レベルでは、AIを使って業務を変えることもひっくるめてDXと呼んだほうが、社内の理解が得られやすかったり、予算が通りやすかったりするという便宜上の理由があるためです。
しかし、本質的には「デジタル化(DX)」の次に来る、「AI化(AX)」という別のフェーズに入っていることを認識しておく必要があります。
AXは、つい最近始まった話ではない
AXという言葉が急に注目され始めたように感じるかもしれませんが、実はこの概念自体は1年以上前から存在しています。
特に、ChatGPTに代表される生成AIが爆発的に普及し始めた2022年後半から2023年にかけて、多くの先進的な企業はすでにDXの次はAXだと舵を切っていました。
つまり、新しい概念が登場したのではなく、水面下で進んでいた変革が、誰の目にも明らかな形になって表出し始めたと言ったほうが正確でしょう。すでに一周回って、実践段階に入っている企業も少なくありません。
二次情報に絡むだけの仕事はなくなる?
ここからが本題であり、少し厳しい予測になります。 AXが発展し、AIが日常のツールとして定着すればするほど、「二次情報を扱うだけの仕事」の価値は限りなくゼロに近づいていくでしょう。
二次情報とは?
誰かが発信した情報(一次情報)をまとめたり、要約したり、右から左へ流したりする情報のことです。
これまでのインターネット社会では、「情報を整理して分かりやすく伝える」というキュレーション的な役割にも大きな価値がありました。しかし、生成AIはこの作業が人間よりも圧倒的に得意です。 膨大なデータから要点を抜き出し、整理し、レポートにする作業は、AIが一瞬でやってのけます。
「情報の仲介」ではなく「体験」が価値になる
そうなると、今後生き残るのは一次情報を持つ人や企業です。
- 実際に現場で体験したこと
- 泥臭い営業で得た肌感覚
- 独自の実験や検証の結果
- その人独自の哲学や思想
ネット上の情報をツギハギしただけのブログ記事や、他社の事例を並べただけの企画書は、AIが生成するものと見分けがつかなくなります。 「あなた(自社)が、実際にどう動いて、何を感じたのか」という、AIが絶対にコピーできない体験や意志こそが、これからのビジネスの核心になっていくはずです。
AX時代をどう生きるか
AXは、単なるツールの導入ではなく、人間がどこに価値を置くべきかを問い直す変革です。情報の整理整頓はAI(AX)に任せ、私たちは人間にしかできない一次情報の獲得や意思決定に全力を注ぐ。 そうやって仕事の質を変えていくことこそが、真のAIトランスフォーメーションと言えるのではないでしょうか。













