2026年6月、ファミリーマートは自社の公式Webサイトが国際的なアクセシビリティ基準に基づく「JIS X 8341-3:2016(適合レベルA)」を取得したと発表しました。
「Webアクセシビリティって何?」「適合レベルAってどういう意味?」と思った方も多いかもしれません。今回は、その意味をわかりやすくご説明します。
そもそも「Webアクセシビリティ」とは?
Webアクセシビリティとは、年齢や障がいの有無にかかわらず、誰もがWebサイトを利用できる状態のことを指します。たとえば、次のようなケースを思い浮かべてみてください。
視力が低下した高齢者が、文字が小さくて読めないWebサイトに困っているケース。手が不自由でマウスが使えず、キーボードだけで操作したいユーザーが、ページを移動できないケース。スクリーンリーダー(画面を音声で読み上げるソフト)を使っている視覚障がい者が、画像に説明文がなくて内容を理解できないケース。
こうした不便を解消し、すべての人がWebサイトを使いこなせるようにすることが、Webアクセシビリティの目的です。
「JIS X 8341-3」と「適合レベルA」の意味
JIS X 8341-3は、Webアクセシビリティに関する日本産業規格(JIS)です。国際標準規格であるW3C(ウェブの標準化団体)のWCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)をもとに作られており、Webサイトがどれだけ使いやすい設計になっているかを客観的な基準で評価します。
その評価には3段階の適合レベルが設けられています。
レベルAは最低限クリアすべき基準で、「基本的なアクセシビリティが確保されている」状態です。レベルAAはより高い水準で、行政や多くの企業が目指す標準的な達成目標とされています。レベルAAAは最高水準であり、実現が難しい項目も含まれます。
今回ファミリーマートが取得したのは「適合レベルA」で、文字の読みやすさ(コントラスト)やキーボードでの操作性など、国際的なガイドラインに基づく基準への準拠を、第三者検査機関によって認定されたものです。 family
なぜ今、ファミリーマートが取り組むのか
ファミリーマートは2026年9月に創立45周年を迎えます。「いちばんチャレンジ」を新スローガンに掲げ、「いちばん地域に愛される」を目指した取り組みの一環として、高齢者や障がいのある方を含むすべてのお客さまが、スマートフォンやパソコンからいつでも快適に公式Webサイトをご利用いただけるよう、Webアクセシビリティの向上に取り組んでいます。 family
この方針はWebサイトに限った話ではありません。店頭では2023年4月から、聴覚・言語障がいをお持ちの方や高齢者が指差しでコミュニケーションを取れる「コミュニケーション支援ツール」を全国の店舗に導入しており、リアルとデジタルの両面でユニバーサルな環境づくりを進めています。 family
「適合レベルA」はゴールではなく、スタートライン
気になるのは、今回の取得が「最高基準」ではなく「最低基準」にあたるレベルAである点です。これを自己満足と捉えるか、誠実な第一歩と捉えるかで、見方は変わるのかもしれません。
ファミリーマート自身も「今回の取得をスタートラインと捉え、今後もお客さまの声に耳を傾け、より使いやすいウェブサイトを目指して取り組んでいく」としており、さらなる改善への姿勢を明示しています。第三者機関による客観的な認定を経たうえで公表している点は、透明性という観点でも評価できる動きといえます。 family
Web担当者が注目すべきポイント
企業や自治体のWeb担当者にとって、このニュースはひとつの参考事例になると思います。
2024年に施行された改正障害者差別解消法により、民間事業者にも「合理的配慮の提供」が義務化されました。Webサイトのアクセシビリティ対応は、今後ますます企業に求められる取り組みになっていきます。ファミリーマートのような大手企業が第三者認定を取得して公表することで、業界全体の底上げにつながる可能性もあります。
Webサイトから得られる情報は、今や多くの人にとって重要な情報源となっているため、誰もが利用しやすいWebサイトが求められています。自治体や大企業ほど、その取り組みを重視する傾向にあります。
自社のWebサイトのアクセシビリティが気になる方は、まずJIS X 8341-3の達成基準を確認し、簡易的なチェックツールを使ってみるところから始めると良いでしょう。
まとめ
ファミリーマートのWebアクセシビリティ取得は、「誰一人取り残さない」という考え方をデジタル領域でも実践しようとする動きの一つです。適合レベルAは最初の一歩ではありますが、第三者機関による認定を経て公表したことに、誠実さを感じます。
コンビニは地域のインフラとも呼ばれます。その情報窓口となる公式サイトが、すべての人に開かれたものであり続けることは、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」というスローガンの体現といえるかもしれませんね。














