Webメディアを読んでいて、「中身を読みたいのに、広告が邪魔で先に進まない!」とイライラした経験ってありますよね?本来、有益な情報を提供して読者をファンにするはずのメディアが、なぜ自ら首を絞めるような読みづらい環境を作ってしまうのか。
そこには、メディア運営者が抱える理想と生存のジレンマという深い闇があります。今回は、なぜWebメディアが広告まみれの“障害物競争”になってしまうのか、その裏側を少しだけ辛口に紐解いてみましょう。
「1PV=0.数円」という厳しい現実
まず直視しなければならないのは、Web広告の単価の下落。
多くの無料メディアは、広告が表示された回数(インプレッション)やクリック数によって収益を得ています。しかし、現在その単価は非常に低く、良質な記事を1本公開しても、それだけでライターの原稿料やサーバー代を賄うのは至難の業です。
- 数で稼ぐしかない: 単価が低いなら、表示回数を増やすしかありません。その結果、1ページの中に「これでもか~!」と広告を詰め込むことになります。
- ページ分割の罠: 「続きを読む」でページを細かく分けるのも、ページビューを稼いで広告表示回数を増やすための苦肉の策なのです。
運営側も制御不能な運用型広告の仕組み
かつての広告は、メディアが広告主と直接契約して「ここにこの画像を貼ります」と決めるものでした。しかし現在は、プログラマティック広告が主流です。
メディア側は広告枠だけを用意し、そこにはアルゴリズムがリアルタイムで、そのユーザーが興味を持ちそうな広告を勝手に流し込みます。
- 誰が何を出しているか把握しきれない: メディア運営者が不快な広告は出したくないと思っていても、システムが自動で配信するため、過激な表現や追跡型広告(リターゲティング)が勝手に表示されてしまうのです。
- 広告枠の自動最適化: 収益を最大化するツールを導入すると、システムが「ここに広告を置けばもっと稼げますよ」と提案してきます。収益に追われる運営者は、ついその誘惑に勝てず、ユーザー体験を二の次にしてしまうのです。
短期的な数字への依存
メディア運営には、PVや収益といった今月の目標数字がつきまといます。読者が離脱してしまうのは長期的には大きな損失ですが、短期的な収益目標を達成するためには、多少の離脱には目をつぶってでも広告をクリックさせたい、という誘惑に駆られます。
「読者が離れる恐怖」よりも「今月の売上が足りない恐怖」が勝ってしまう。 これが、多くのメディアが陥っている依存状態です。
ユーザーとの、いたちごっこ
広告がしつこくなれば、ユーザーは広告ブロックを使います。するとメディアの収益はさらに減ります。減った収益を補うために、メディアはブロックされにくい新しい手法の広告を導入したり、さらに広告密度を上げたりします。ああ、恐ろしい・・。
この不快な広告 → ブロック → さらに強引な広告¥という負のループが、現在のインターネットをより不便な場所にしているわけです。
メディアは今、曲がり角に立っている
私はもともとメディア出身なので、多少の知識はあるのですが、今は曲がり角のような気がしています。ユーザーが感じる「広告が邪魔だ」という感覚は、非常に健全なものです。本来、広告はコンテンツと共生し、読者に新しい発見を与える情報であるべきでした。
いま、この状況に危機感を感じているメディアは、広告に頼らないモデル(例えば、有料サブスクリプションやファンからの支援)や、記事のデザインに溶け込むネイティブ広告へと舵を切っていくだろうと思います。
読みづらいと感じるメディアから読者が離れていくのは正しい反応ですし、最終的には、読者の時間を尊重して、適切な距離感で広告を提示できるメディアが生き残るはずです。ただ、今後はAIで情報収集することが増えてしまうと、そもそもメディアを見に行くことが減ってしまいます。その時のサブスクの立ち位置は、相当な魅力が必要となることは言うまでもありません。













