生成AIは「仕事のツール」だけではなくなってきた
生成AIといえば、業務効率化や仕事のサポートツールというイメージが強いかもしれません。しかし、仕事以外の余暇時間にも生成AIを活用する人が着実に増えています(ただ質問する、という観点なら、ほとんどの人が使っているかと思います)。旅行のアイデアを相談したり、趣味の創作活動に役立てたり、生成AIの使われ方は多様化しています。では実際に、日本人はどのくらいの割合で生成AIを使っているのでしょうか。調査データをもとに、その実態を詳しく見ていきます。
わずか2年半で10倍以上に急拡大
日本リサーチセンター(以下、NRC)が全国20〜69歳の男女を対象に継続的に実施しているデイリートラッキング調査によると、生成AIの利用経験率は2023年3月の3.4%から、2025年9月には38.9%へと、わずか2年半で35.5ポイントも増加しました。特に2024年12月以降は上昇が加速しており、2025年6月から9月の直近3か月間だけでも8.6ポイントという急激な伸びを記録しています。
同様に、総務省が2025年に公表した情報通信白書でも、何らかの生成AIサービスを「使っている(過去に使ったことがある)」と回答した割合は26.7%であったことが示されています。前回の2023年度調査では9.1%だったことを踏まえると、利用経験は約3倍に拡大しており、普及のスピードが急速に加速していることがわかります。
また、MM総研が2025年8月に15〜69歳の男女を対象に実施した調査では、生成AIの利用経験者は21.8%となっており、前回調査(2024年8月)と比べて9.3ポイント増加したことが報告されています。
複数の調査機関のデータを総合すると、2025年時点で日本における生成AIの利用経験者は全体のおおむね2〜4割程度に達していると見られます。調査対象の年齢範囲や質問の設計によって数値に幅があるものの、いずれも急激な増加傾向を示している点は共通しています。
余暇・趣味の利用の実態
生成AIをどのような目的で使っているのかを見ると、余暇や趣味の場面での活用が着実に広がっていることが確認できます。NRCの2025年9月調査によれば、生成AI利用経験者に利用目的を尋ねたところ、最も多かったのは「情報収集・調べもの・検索内容の要約」で50.6%でした。そして注目すべきは、「アイデア出し(趣味・創作・日常の発想など)」が34.1%という高い割合を占めていることです。これは仕事に限らない、個人の日常生活や趣味に根ざした利用が相当数を占めていることを意味しています。
MM総研の調査でも、利用用途として「検索機能」に次いで「文章の作成・編集・要約」や「話(メッセージ)」「画像生成・編集」が続いており、趣味の創作活動や日常のコミュニケーションに生成AIを取り入れている人が少なくないことが示されています。また、生成AIを利用する端末としてスマートフォンが58.0%と最も多く、移動中や休憩時間などの「すきま時間」に気軽に使われる場面が増えていることがうかがえます。
若年層ほど余暇でも積極的に活用

生成AIの利用率には年代間で大きな差が見られます。総務省の調査では、最も利用率が高い20代が44.7%であるのに対し、60代は15.5%と最も低い水準にとどまっています。NRCの2025年9月調査では20代の利用率が53%に達しているのに対し、60代は29%と、その差は2倍近くに上ります。
MM総研の調査でも年代が若いほど生成AIを利用する割合が高く、10代が41.3%で最多となっており、若い世代が生成AIを仕事だけでなく日常や趣味にも積極的に取り入れている実態が浮かび上がります。
性別で見ると、全般的に男性の利用率が女性を上回る傾向が続いていますが、NRCの調査ではChatGPTについて30代女性が38%と男性(31%)を上回るなど、一部の層では女性の利用が進んでいることも注目されます。
日本は世界と比べると?普及はまだ途上段階
日本の生成AI個人利用率を国際的な視点で見ると、依然として大きな差があることがわかります。総務省の2025年情報通信白書によれば、中国の利用経験率が81.2%、米国が68.8%、ドイツが59.2%に上っているのに対し、日本は26.7%と大きく後れをとっています。いずれの国でも利用率は拡大を続けていますが、日本の伸びがそれに追いついていない状況です。
利用していない理由を見ると、「生活や業務に必要ない」が4割を超えて最多であり、「使い方がわからない」も4割近い水準で挙げられています。総務省の白書は「まだ利用のハードルが高いことがうかがわれる」と分析しており、認知度が高まっている一方で、実際に使ってみようとする動機づけや操作への不安の解消が課題として残っていることが示されています。
生成AIは「日常の相棒」へ
インテージが全国の生活者を対象に実施した調査では、2025年10月時点で生成AIの認知度(「聞いたことがある程度」を含む)はTOTALで89.9%に達しており、理解度も56.7%と半数を超えています。認知が生活者に広く浸透する中で、スマートフォンアプリを通じた手軽な利用の増加も加速しており、旅行の計画を立てる際の情報収集や、創作活動でのアイデア出し、言語学習など、余暇の場面での活用がますます広がる土壌が整いつつあります。
日本の「余暇×生成AI」はまだ伸びしろがある
最新のデータをまとめると、日本における生成AIの利用経験者はおよそ2〜4割の水準に達しており、その中でも趣味や創作・アイデア出しなど余暇での活用は約3割前後の利用者が行っていると推計されます。2年前にはほとんど使われていなかったことを考えると、驚異的なスピードで普及が進んでいるといえます。
しかし、使い方のわからなさや必要性を感じないという層が依然として多く存在しており、特に中高年層への浸透はまだ限定的です。生成AIは「難しいビジネスツール」ではなく、日常の趣味や暮らしをより豊かにしてくれる「身近な相談相手」にもなり得るものです。余暇時間に気軽に試してみることが、生成AI活用の第一歩になるでしょう。
(参考データ:日本リサーチセンター「NRCデイリートラッキング 生成AIについて」2025年9月調査、総務省「令和7年版 情報通信白書」2025年7月、MM総研「生成AIサービスの個人利用率」2025年9月、インテージ「知るギャラリー」生成AI利用実態調査2025年)













