アイ・セプトでは『てのひらハウス』というIoTソリューションを、北海道上川郡下川町で約6年半展開していまして、このほど“円満終了”となりました。今回は少しだけ報告を書いておきます。
てのひらハウスとは?

『てのひらハウス』とは、自動でビニールハウスの環境を測定して、蓄積データをスマートフォンやパソコンを使って、遠隔で確認できるIoTサービスです。気温やCO2濃度や湿度、気圧などが測定できて、遠隔でハウス状況を確認したり、蓄積したデータを収量増加に活かすことができます。また、効率面において人手不足の解消にも役立ちます。
下川町からの相談
ことの発端は下川町からの相談でした。下川町の一の橋地区にある下川町特用林産物栽培研究所(通称、しいたけふぁーむ)で、椎茸のビニールハウスの環境測定をしたいので、IoT機器は作れませんか?ということでした。

興味は沸いたのですが、そもそも弊社は無形事業です。しかも、しいたけ農場のハウス内は、湿度90%の厳しい環境でした。今回の話は有形事業であり、しかも厳しい環境に耐えうるIoT機器を開発する(少なくとも、当時はこの世に存在していませんでした)ことは、まさにゼロイチのチャレンジになってしまいます。

でも、“ゼロイチ”という言葉が大好きな私は「まずは社内で一度試してみます」と返答しました。そこで市販されているラズベリーパイを代表とした、いわゆる小型シングルボードコンピュータを購入して、実際に簡単なプログラムを入れて動かしてみると、何となく理屈がわかってきたので、「やりましょう!」と返答をして、ハードとソフトウエアの開発を始めました。
完成

開発段階の話は割愛しますが、難しい課題は数えきれないほど挙がりました。ですが、テストを何度も重ね、実際に設置して稼働した時は、喜びもひとしおという言葉がぴったりなくらい感動したことを今でも覚えています。
実は、椎茸は解明されていないことが多い謎の作物だったりするんです。今回、カメラを取り付けたのですが、どのように発芽するのか撮影しただけでも、得られる情報は多かったようです。ちなみに、椎茸の一般的な発芽までの大まかな流れというのは以下の通りです。
- 培養(菌まわり)
- おが粉ブロックに種菌接種後、20〜25℃前後で数十日培養。
- 全体が白くなり、褐色化して硬く締まるまで待つ。
- 休養・刺激
- 培養完了後、温度を少し下げる。
- 必要に応じて水浸けや散水で刺激を与え、発生スイッチを入れる。
- 発生管理
- 15〜20℃、高湿度、弱光で管理。
- 菌床表面にピン(小さな芽)が出たら、急な乾燥や高温を避ける。
・・と、あくまで“大まか”であり、言い換えればデリケートな作物だからこそ、調整さえすればもっと収量は増加できると考えたのです。今回のIoT機器が少しでも収量増加に役立てば!という感じでスタートしました。結果的にはIoT機器だけでなく、さまざまな施策も功を奏して、下川の椎茸は収量が増加し、販路も広がって、良い方向を進むことができています。そして何よりも遠隔で、ハウスの状況が確認できるので、安心感を得られる点が大きかったと聞いています。

円満終了してみて
先日、SIMカードを取り出すために、機器の解体を行ったのですが、内部に湿気の跡はなく、機器の完成度が高かったことがよくわかりました。コードも極太でしたので、腐食による影響もありませんでした。市販品を購入して接続したカメラだけが、湿気の影響で故障してしまいましたが、それ以外の部分はすべて無事でした。
今回は3G回線の終了に伴って、IoT機器の稼働はいったん終了となったのですが、今後もこのような機会があればチャレンジしたいですね。下川町には本当に感謝していますし、今後もますます貢献していけたらと思います。














