広島市のサル出没は、身近なリスク

※写真はイメージです

広島市中心部では、11月18日ごろからビルの屋上などでサルの目撃情報が相次ぎ、24日も中区の幟町や西平塚町で、ビルからビルへ飛び移る様子が報道されています。警察への通報も続いていて、確認されている個体は1頭ですが、朝から日中にかけて市街地を移動しているとのことです。TBS NEWS DIG

「サルが街なかに出るなんて、ちょっと怖い話だな…」と感じる方も多いと思います。ただ、これは広島だけの特殊な出来事ではありません。近年、全国ではクマだけではなく、イノシシやシカ、サルなどの野生動物が、人の生活圏に現れるケースが増えています。ソフトバンク

広島県も例外ではなく、県のマニュアルでは、イノシシ・ニホンジカ・ニホンザル・ツキノワグマなどの市街地出没が頻発し、人身被害も含めて重大な社会問題になっていると指摘されています。特にイノシシによる咬傷などの人身被害が、過去8年間で54件発生したというデータも示されています。広島県庁

クマだけじゃない、危険な野生動物はこんなにいる

報道ではクマが取り上げられることが多いですが、危険な動物はクマだけではありません。代表的な例と主な特徴を挙げておこうと思います。

サル(ニホンザル)

  • 手先が器用で、人の食べ物やゴミを簡単にあさる
  • 目が合うと「威嚇された」と受け取ることがあり、噛みつき・ひっかきによるけがのリスクがある
  • 窓ガラスを叩いたり、家の敷地内まで入ってくるケースも全国で報告されているソフトバンク+1
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イノシシ

  • 突然走り出す。スピードと体重があるため、体当たりされると大けがの危険あり
  • 追いかけ回す・石を投げるなど刺激すると、逆に突進されるリスクが上がると指摘されている広島県庁
  • 農作物への被害が大きく、2023年度の全国の農作物被害額164億円のうち、イノシシだけで36億円を占めている農林水産省
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シカ

  • 一見おとなしく見えるが、驚いて飛び出したシカとの交通事故が各地で問題になっている。
  • 農作物や森林への被害額も大きく、シカだけで年間70億円の被害が出ているというデータがある農林水産省+1

その他の動物

  • アライグマ・ハクビシンなどの中型哺乳類は、屋根裏への侵入や農作物被害に加え、狂犬病・寄生虫など感染症リスクも指摘されいる
  • シカ・イノシシは、家畜の豚熱などの拡大要因となり得ることも指摘されており、農業だけでなく公衆衛生の観点でも注意が必要と言われている動物プロダクション SCIENCE FACTORY ltd.

サルやシカ、イノシシに遭遇したときの基本行動

ここからは、もし街中や通学路で野生動物を見かけたときに、最低限覚えておきたいポイントです。クマのニュースが多い昨今ですが、今回はクマ以外の対応について書いておきます。
(※実際の対応は、各自治体の指示を最優先にしてください)

共通のNG行動

  • 追いかける・近づく・スマホを向けて撮影しようとする
  • 石や物を投げる、大声で威嚇する
  • 背を向けて走って逃げる

これらは、相手を興奮させてしまい、突進や攻撃につながるリスクが高まるとされています。広島県庁+1

共通のOK行動

  • 落ち着いて、ゆっくりと後ずさりしながら距離を取る
  • できれば建物や車など、硬いものを自分との間に挟む
  • 子どもだけで対処せず、大人に知らせる・110番/自治体に通報する
  • その場でSNSに投稿する前に、まず安全確保と通報を優先する

サルに遭遇した場合のポイント

  • 目をじっと見ない(サルは「にらまれた」と受け取ることがあります)
  • 食べ物やビニール袋を見せない・持ち歩かない
  • 子どもを前に出さず、大人が後ろから静かに誘導してその場を離れる

サルは目を合わせると威嚇と勘違いし、刺激すると襲ってくることがあるので、目を合わせず静かに離れることが推奨されています。

イノシシの場合

  • イノシシは急な上りが苦手と言われており、近くに坂や階段があれば、上の方へ避難する。
  • 親子連れには絶対に近づかない。子ども(うりぼう)を守ろうとして非常に攻撃的になることがあるため。

シカの場合

  • かわいく見えても近づかない、エサをあげない
  • 発情期や出産期(初夏)は特に注意し、子ジカを見つけても触らない、写真目的で囲まない

情報を「早く・正確に・共有する」ことが命を守る

広島県のマニュアルでも、野生動物が市街地に出没した際には、

  • 住民への注意喚起
  • 情報収集・出没パターンの把握
  • 関係機関での連携・対応方針の決定

という流れが重視されています。広島県庁

そのベースになるのが、「いつ・どこで・どの動物が・どんな状態でいたか」という情報です。
この情報がバラバラのままだと、

  • 住民が危ないエリアに近づいてしまう
  • 行政や警察、猟友会の対策が後手に回る
  • デマや誤った情報で、むしろ混乱が大きくなる

といった問題が起きてしまいます。

逆に、目撃情報が地図や一覧で整理され、誰でも分かりやすく確認できる形になっていれば、

  • 通学路の変更や見守りの強化
  • パトロールや捕獲の重点エリアの判断
  • 報道・SNSを通じた正確な注意喚起

が、はるかにスムーズに行えるようになります。

手前味噌ながら…『アニマルアラート』について

最後に、手前味噌ではありますが、私たちアイ・セプトが自治体向けに提供している野生動物出没情報共有サービス『アニマルアラート』について少しだけご紹介させてください。

『アニマルアラート』は、クマの目撃情報だけでなく、サル・シカ・イノシシなど複数種類の野生動物に対応しており、「いつ・どこで・どの動物が見られたか」を、1つの仕組みの中でまとめて掲載・共有できるようになっています。

  • クマとサル、イノシシがそれぞれ別々に出ている地域
  • 季節によって出没する動物が変わる地域

といったケースでも、複数種の目撃情報を地図や一覧に一元表示できるため、住民のみなさん・自治体の担当者・関係機関が同じ情報を見ながら対策を検討できます。

広島市のサル出没のようなニュースを見るたびに、こうした情報を、落ち着いて・正確に共有できる仕組みをもっと広げていきたいと、改めて感じています。

野生動物からの被害を未然に防ぐため、目撃・痕跡情報をわかりやすく掲載し、住民・観光客などに向けて注意喚起する『アニマルアラート』の導入を、自治体様向けに募集しています。
⇒『アニマルアラート』の詳細はこちら

ABOUT US
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アイ・セプトの社長
株式会社プロトクリエイティブ(現 株式会社プロトコーポレーション)で、 各種メディアをアートディレクターとしてプロデュース。のちに、お客様の一番近くで仕事をしたいと考え、転職して営業職にジョブチェンジ。
株式会社ウェブ・ワークス(現 トランスコスモス株式会社)では、新事業の草分けとしてプロジェクトマネージャーとなり、のちに東海圏と関西圏のエリアマネージャー、福岡・札幌圏のアドバイザーを担う。そのほか、人事制度の策定や事業再生にも従事。

2009年7月7日『株式会社アイ・セプト』を設立、代表取締役社長に就任。2019年には北海道上川郡下川町にオフィス、2024年には秋田県秋田市に秋田オフィスを開設し、地域課題の解決に向けて精力的に活動中。
GUGA認定 生成AIパスポート 有資格者。
趣味はマラソン、釣り、ライブ観戦など。