ChatGPTの新モデル「GPT-5.4」公開。何が変わったのかを詳しく整理

OpenAIが2026年3月5日に「GPT-5.4」を発表しました。今回のアップデートは、単なる性能向上ではなく、ChatGPTでの使い勝手と実務での完成度の両方を強く押し上げる内容になっています。公式発表によると、ChatGPTでは「GPT-5.4 Thinking」が導入され、より難しい業務や調査、資料作成、コード生成などで強みを発揮するとされています。

“長く考える力”と“実務で形にする力”が一段上がったモデルといえそうです。とりわけ、途中で考え方の方針を示しながら進められること、Web調査の精度向上、長い文脈の保持、スプレッドシートやプレゼン資料の作成力の改善が目立ちます。

GPT-5.4とは何か

OpenAIの公式説明では、GPT-5.4は実務・専門業務向けの最上位クラスのモデルとして位置づけられています。またAPIのモデル一覧でも、ChatGPT用モデル群の中でも中心的な新モデルとして扱われていくとされています。

ただし、ChatGPTでユーザーが直接目にする形では、今回の主役は、厳密には“GPT-5.4 Thinking”です。OpenAIのヘルプでは、ChatGPTにおけるGPT-5.4 Thinkingは、最も高性能な推論モデルであり、難しい現実的な仕事向けに設計されていると説明されています。つまり、GPT-5.4公開というニュースの中身は、ChatGPT利用者の体感としてはGPT-5.4 Thinkingの導入だと理解すると分かりやすいと思います。

いちばん大きな変化は「途中で方針を修正しやすい」こと

今回、一番大きな変化は、考え始める前に短い方針を出せるようになった点です(フォローアップ)。これによって、長い作業を任せたときでも、最後まで待ってから修正するのではなく、途中で軌道修正しやすくなります。

実務ではかなりのメリットがあると思います。たとえば、提案書、競合調査、企画の整理、ブログ作成、営業メールの叩き台のような類の作業では、最終結果そのものだけでなく、どのような考えで進めるかが重要です。GPT-5.4 Thinkingはそこを見せながら進めていくため、フォローアップを活用することで、やり直し回数を減らして精度を上げていくことができます。業務効率に直結するので、ヘビーユーザーには朗報です。

Web調査と長文コンテキスト保持が強化

OpenAIは、GPT-5.4 Thinkingについて、高度で具体的なWeb調査で改善があると明記しています。また、長く考える必要がある質問で、これまでより文脈をうまく保てるとも説明しています。

これは、単発の質問よりも、複数ソースを突き合わせて整理するタスクに威力を発揮しそうです。たとえば「最新の〇〇情報を比較したい」「自社の競合3社の違いを整理したい」「最近の自治体案件の傾向を知りたい」といった、調査対象が散らばるテーマでは、モデルの本当の実力差が出やすいため、GPT-5.4 Thinkingは、そうした複数情報の統合型タスクに強く振ったアップデートと見てよさそうです。

実際に「最新の生成AI情報を比較したい」という質問をGPT-5.4 ThinkingとGPT-5.2 Thinkingに聞いたところ、思考時間は掛かるものの、フォローアップしながら突き詰めた内容はとても整理されて理解しやすいものでした。

GPT-5.2 Thinking
GPT-5.4 Thinking

資料作成・表計算・文書作成の強化

OpenAIは今回、GPT-5.4でスプレッドシート、プレゼンテーション、文書作成の改善を特に重視したとしています。公式発表では、社内ベンチマーク上でスプレッドシートモデリングの平均スコアがGPT-5.2の68.4%からGPT-5.4で87.3%に向上したとされています。さらに、プレゼン評価プロンプトでは、人間評価者がGPT-5.4のプレゼンをGPT-5.2より68.0%の割合で好んだと説明されています。

この流れを見ると、GPT-5.4は「答えを返すAI」からさらに進んで、「仕事の成果物を作るAI」へ進化した印象です。整った文書や見栄えを意識したスライド、実務計算に耐える表計算など、ビジネス現場でそのまま叩き台にしやすくなったと言えます。とりわけ、企画書や営業資料、報告書、見積関連の整理など、日々のオフィスワークでも恩恵を感じやすくなると思われます。

事実性の改善

OpenAIは、GPT-5.4を「our most factual model yet」と表現しています。つまり、ユーザーが事実誤認を指摘した匿名化プロンプト群において、GPT-5.4はGPT-5.2に比べて、個々の主張が誤っている確率が33%低く、回答全体に何らかの誤りを含む確率が18%低いとしています。

もちろん、これで完全に誤りがなくなるわけではありませんので、人によるファクトチェックは必要です。ただ、調査や要約、説明文作成、比較整理のような用途では、「そもそもミスが減る」だけでもかなり実用性が上がります。とりわけ社内資料や対外文書のドラフトでは、精度の向上がファクトチェックのコスト削減につながるかもしれません。とはいえ、人がチェックする場合、基本全部に目を通すわけですから、どこまで削減できるのかは悩ましいところです。

API・Codex側では“コンピュータを使うAI”がより本格化

今回の発表はChatGPT利用者向けだけではありません。OpenAIは、APIとCodexにおいてGPT-5.4がネイティブで最先端のcomputer-use capabilitiesを持つ最初の汎用モデルだとしています。さらに、最大100万トークンのコンテキストをサポートし、長い工程をまたぐ計画・実行・検証がしやすくなったと説明しています。明らかにClaudeを意識したアップデートですね。

また、ツール検索の改善により、広いツール群やコネクタの中から適切なものを探して使う能力も向上したとされています。これは、今後のAI活用が「チャットで答える」だけでなく、複数アプリやツールをまたいで仕事を進めるエージェント型へ進む流れを強く意識したものになっています。

ChatGPTではどう使えるのか

OpenAIのヘルプによると、ChatGPTでは「Auto」を選ぶと、状況に応じてGPT-5.3 InstantとGPT-5.4 Thinkingが自動で切り替わるようです。手動選択も可能で、Instantは即答重視、Thinkingは深い推論、Proは最難関タスク向けというこれまでと同様の仕様です。

あらためて具体的に書くと、日常的なやりとりや軽い作業はGPT-5.3 Instant、重めの調査や複雑な資料作成はGPT-5.4 Thinking、さらに難度が高く長時間のワークフローにはGPT-5.4 Pro、という考えで良いかと思います。なお、ProではApps、Memory、Canvas、画像生成が使えないという制約も案内されています。これは今後改善されることを期待します。

提供対象と移行のポイント

公式発表では、ChatGPTのGPT-5.4 Thinkingは2026年3月5日からPlus、Team、Pro向けに提供開始され、GPT-5.2 Thinkingを置き換えるとされています。GPT-5.2 Thinkingは有料ユーザー向けLegacy Modelsに3か月残り、その後2026年6月5日に終了予定です。EnterpriseとEduは管理者設定から早期アクセスを有効化できるそうです。

また、ヘルプでは、2026年2月13日時点でChatGPTからGPT-4o、GPT-4.1、GPT-4.1 mini、o4-mini、GPT-5(Instant/Thinking)がすでに終了しており、今後の標準系はGPT-5.3とGPT-5.4へ整理されていることも説明されています。つまり今回のGPT-5.4投入は、単独の新モデル追加というより、ChatGPT全体のモデルラインアップ再編と言えますね。

GPT-5.4は誰向け?

今回のアップデートは誰向けなのかな?と考えてみると、調査・整理・資料作成・コード・業務文書を日常的に扱う人が、とりわけ恩恵を受ける気がします。単純な雑談AIとしてよりも、仕事を前に進めるための実務サポートとしての価値がかなり上がっていると思います。

たとえば、経営者なら市場調査や提案書のドラフト作成、営業ならメール文面や比較表、制作・開発ならコード生成や仕様整理、バックオフィスなら文書ドラフトや表計算の整備など、かなり幅広く恩恵があるのではないでしょうか。そして、一発回答の賢さよりも途中で直せる・長く考えられる・成果物化しやすいことを重視する人には相性がよさそうです。

まとめ

長文を読んでいただき、ありがとうございました。GPT-5.4の公開は、さらに実務的な作業を加速するためのツールへと進化したと思います。今後は「速く答えるAI」と「深く考えて成果物を作るAI」の使い分けが、定番になりそうな気がします。GPT-5.4は、その後者を大きく前進させたモデルだと言えます。業務の中でAIを本気で使いたいと考える人は、試してみてはいかがでしょうか。

ABOUT US
アバター画像
アイ・セプトの社長
株式会社プロトクリエイティブ(現 株式会社プロトコーポレーション)で、 各種メディアをアートディレクターとしてプロデュース。のちに、お客様の一番近くで仕事をしたいと考え、転職して営業職にジョブチェンジ。
株式会社ウェブ・ワークス(現 トランスコスモス株式会社)では、新事業の草分けとしてプロジェクトマネージャーとなり、のちに東海圏と関西圏のエリアマネージャー、福岡・札幌圏のアドバイザーを担う。そのほか、人事制度の策定や事業再生にも従事。

2009年7月7日『株式会社アイ・セプト』を設立、代表取締役社長に就任。2019年には北海道上川郡下川町にオフィス、2024年には秋田県秋田市に秋田オフィスを開設し、地域課題の解決に向けて精力的に活動中。
GUGA認定 生成AIパスポート 有資格者。
趣味はマラソン、釣り、ライブ観戦など。