スマホの地図が、こちらの声に普通に返してくる。道順だけでなく、寄り道も予定もまとめて面倒を見る──そんな“会話する地図”が現実になりました。今日はこの最新の動きから、生成AIが私たちの生活と仕事にどう溶け込みつつあるかを解説します。
最新の動き
- Googleは Gemini を地図アプリに統合 し、運転中でも「沿道の安いビーガン対応のお店、2km以内で」「じゃあ予約とカレンダー登録も」といった連続した会話で操作できるようになりました。
- 曲がるタイミングを「□m先」ではなく「〇〇の角を右」といったランドマーク基準で案内。視覚的にも分かりやすい表示が入ります。
- 渋滞や通行止めの“先読み通知”、到着後はカメラでその場の店や建物を認識して質問できる Lens with Gemini も順次拡大していきます。
まとめると、地図が「行き先」だけでなく用事の段取り(例えば、予定の登録や共有、充電器探し、レストラン選び)まで手伝う方向に進んでいる、ということです。コンシェルジュみたいになってきましたね。
補足:GeminiはGoogleの生成AI。大量の情報をもとに文章や画像を作ったり、会話で手続きを進めたりする仕組み(大規模AIモデル)です。
エージェント化の波
1)生活:AIは“風景の一部”へ
チャット画面に呼び出すのではなく、既存アプリの中に自然に住み始めたのが今回のポイントだと思います。ナビ中の会話や、カメラ越しの質問など、手を止めずに使える場面が増えていますから、その結果、これまでのように機器の操作を覚える負担が減り、AIの恩恵が移動・買い物・家事にじわっと広がってきています。
2)仕事:エージェント化が現実味
OpenAIは企業の有料顧客が100万社に到達したと発表しています。社内文書やSlack/Driveと連携し、“調べる→要約→実行”をまとめてこなすワークフローが一般化しつつあります。地図の例と同じで、ビジネスでも「AIを開く」から「AIが先回りしてくれる」ようになってきています。現場で効くのは、小さな反復作業の自動化と現場に馴染むUI(すでに使っているツールの中に馴染んでいるような感じ(?))です。
3)ただし、表示と説明責任の整備が進行
EUはAI生成コンテンツに「AIだと分かる表示(ラベリング)」を広げるための実務指針づくりを開始しました。義務の本格適用は段階的で、一般目的AI(GPAI)向けの一部要件は2025年8月から、生成コンテンツ表示に関する義務は2026年8月に適用見込みです。目的は、誤情報やなりすましの抑止と信頼の確保にあります。企業の側は「どこまでAIが作ったのか」を示す準備が求められてくると思います。
補足:GPAI=汎用AI。特定の用途に限らず、幅広いタスクに使える基盤モデル(例:チャット、画像生成など)を指します。
4)プライバシーと過信に注意
会話中に予定や位置情報をあつかうため、権限の与え方(カレンダー連携など)は最小限にとどめましょう。AIの回答はたまにハルシネーションが生じるので、重要な判断は人間が確認する習慣をつけましょう。便利さと安心の丁寧なトレードオフと考えるのが全うです。
現場で「UIに溶け込むAI」の強さを実感
私は現場で「UIに溶け込むAI」の強さを実感しています。使い方の教育がほぼ不要で、“自然と使われる”道具になるからです。今回の会話ナビは、その生活版。ここから先は、声・画像・位置がつながる状況理解ですね。
おそらく将来は、UIがさらに“見えなく”なり、必要な場面でだけ前に出てくるAIが主流になるような気がしています。だからこそ、人が最後に確認するポイントをどこに置くかが重要なのです。生成AIは「アプリを開く対象」から「アプリの中にいる存在」へ変わっていきます。会話する地図はその象徴です。便利さを享受しつつ、生活も仕事もラクにできるようになって、さらに新しいコトやモノを生み出すのが人でありたいものです。
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